MAY YOUR POUCHES NEVER BE EMPTY!
君の小袋がいつまでも空っぽになりませんように!
author michi

Dragons of Autumn Twilight / 秋の黄昏の竜
ドラゴンランス 城砦の赤竜の書 その1その2:その3:その4その5戻る
 2月。年明け最初のドラゴンランスセッションをやってきました。
 多忙のため、本セッションから大分お待たせしましたが、やっとレポートをアップできました!
 そういえば、角川つばさ文庫からドラゴンランス(戦記)が復刊されるそうですね。ファンとしては新たなファンが増えてくれると思うので嬉しい限りです。
 今回の物語はそのドラゴンランス(戦記)の2巻目「城砦の赤竜」で、パーティたちが囚人救出のために、秘密の道スラ=モリを通ってパックス・タルカスに向かうところからです。

 参加メンバーは以下の通り。

フリン・ファイヤーフォージ  ドワーフのファイター8、Kさん
 戦闘は容赦が無い頑固物のドワーフ。速射が得意。
 D&Dは初心者ですが、D&Dミニチュアには相当入れ込んでたりw

アングリフ・ブライトブレイド  人間のファイター/ナイト・オヴ・ザ・クラウン、植埜さん
 "My Honor is My Life!"が口癖の竜騎士を目指す本物のソラムニアンナイト。
 突撃を得意とするチャージャーです。
 クォリネスティ・エルフの〈太陽の評議長〉の娘ローラナを手篭にしています。

ヴィヌク・キル=キューミィー  人間のクレリック5/ファイター1/ナイト・オヴ・ザ・クラウン1、JarkJaxさん
 アングリフと同じく、ソラムニアの冠騎士。
 〈真の神々〉の探索をするアングリフの後を追ってパーティに合流。
 パーティの回復枠ですが、癒しの力はゴールドムーンと違い未だに復活せず。
 今のところ劣化ファイターどまり。

ラド・グエル  人間のウィザード8、ジョウセンさん
 白でも赤でも黒ローブでも無い、〈大審問〉を受けてもいないはぐれ魔導師。
 呪文選び3年、立ち位置8年とウィザード道を説く範囲攻撃の達人。

トビン・ディープポケット  ケンダーのレンジャー1/ローグ4/ハンドラー3、私
 ドラゴンも恐れない非常に好奇心旺盛な小人族ケンダー。
 パーティの雑務担当。得意技はスリ(ハンドラークラスの特徴)と、
 ケンダーの遠近両用便利武器であるフーパックでの急所攻撃。
 最近フーパックではダメージが出なくて、弓を欲しがってたりします。

ゴールドムーン  人間のクレリック8、ふーさん
 ケ=シュ族の族長の娘にして、善なる癒しの女神ミシャカルの僧侶。
 好きな武器はスリングで、得意技はホーリー・スマイト。

一緒に冒険しているNPCのみなさん

リヴァーウィンド 蛮族の男。ゴールドムーンの相方。
ティカ・ウィラン ソレースの〈憩いの我が家亭〉の給仕娘。フライパンを持ったまま冒険に出ることに。
ギルサナス クォリネスティ・エルフの〈太陽の評議長〉の息子。ローラナの兄。
エーベン 前回から仲間になったあからさまに怪しい戦士

 今日は都合で残念ながらふーさんは休み。
 いつものツンデレゴールドムーンが帰って来るのかと思いきや、次のような話になりました。

DM「ゴールドムーンやるひといます?」
アングリフの中の人「じゃぁ、私が。2キャラ担当で。」
DM「じゃぁそれで。」
PL「それでいいのかw」

鎖室




 さて。物語は隠し扉を見つけたフリンたちが、その扉を超えたところから開始します。
 通路をどんどん先に進み、さらに左に折れて100フィートほど進んだところで扉にぶつかりました。
 トビンが扉の前まで〈忍び足〉で近づき、扉を〈捜索〉して〈聞き耳〉したところ、扉の奥から、キー、キーとブランコの揺れるような音が聞こえることがわかりました。

トビン「ま、ということだけど。扉開けるしかないよね。」
ヴィヌク「よし、私が開けよう。」

 扉を開けるヴィヌク。陽光棒の明かりが暗い部屋の中を照らし出します。
 中は、半径50フィート程度の円形型になっており、床には今までと同じく塵が堆積しています。天井は高く、陽光棒の明かりでも見えません。そして部屋の中央に位置するように、その天井の遙か上空から、1本の鎖が降りてきて、時折、キー、キーと、錆びた鉄の軋む音を発しています。また、向かい側には扉があるようです。

トビン「なんだろ、あの鎖。」
ラド「危険だ。とりあえず、ディテクト・マジックのワンドで魔法を関知して見ます。」
DM「ワンドをふると、近くに魔法を感じますよ。」
フリン「魔法じゃと?」
ラド「では、魔法に集中して位置と強度を割り出します。」



 ディテクト・マジックに集中した結果、判別したのは、魔法は鎖からではなく、部屋の左手の壁からで、強度は下級のようですね。

トビン「魔法の壁?シークレット・ドア?じゃぁ〈忍び足〉でその壁に近づき、〈捜索〉してみるよ。ええっと出目20で、達成値27ね。」
DM「扉が見つかりました。」
一同「おおーっ!」

ギルサナス「ここが鎖室というものか。パックス・タルカスは、北からの攻撃を防ぐため、重い石の防御壁が取り付けられている。聞くところによると鎖が切り離されると、巨大な花崗岩で出来た壁が砦のゲートを塞ぐ仕掛けになっているらしい。」
PL「DM、説明じみた解説、ご苦労さんw」
ヴィヌク「てか、ギルサナス。知ってるなら、最初から教えろよw」

 トビンが隠し扉を〈捜索〉し、鍵も罠も大丈夫そうだったので、再びヴィヌクが扉を開けます。

ラド「おかしい。ディテクトマジックの魔法反応は、扉からじゃない。」

 扉の先の部屋は、かつて金塊などが保管されていた宝物庫のようですが、金塊を保管する棚は荒らされて、長い間放置されていたようです。また、部屋の入り口近くでは、白骨死体が転がっています。

トビン「え?お宝?ちょっとヴィヌク、退いてよ。中に――」
DM「そのとき、その宝物庫から君たちがいる部屋へ何者かが侵入してきましたよ。」
ヴィヌク「え?」

 半透明な亡霊のようなものがパーティの前に現れます。見た目はエルフの老婆のようですが……。



PL「とりあえず、〈知識〉チェックだ。何となく何が出てきたのかわかるけど〈知識:宗教〉で確認していい? 」
DM「いいでしょう。」
ヴィヌク「コロコロ、〈知識:宗教〉達成値19。」
DM「名前だけはわかりましたよ。えっと、バンシーですね。」
PL「プレイヤー的にはここで耳を塞ぎたい気分。」
PL「だよね……。」

ヴィヌク「よし、私に任せろ。」
PL「ヴィヌク、どうするの!?」
PL「まともに〈交渉〉できる相手じゃないことは確か。」
ヴィヌク「や、やぁバンシーさん。ここで貴女は何をしているんですか?」
バンシー「泣き叫んで、貴方たちを殺すのよ。」
ヴィヌク「ごもっとも。じゃぁ〈交渉〉成立ってことで。」
DM「そういうと、彼女は悲しい声で泣き叫び始めましたよ。ではイニシアチブをw」
PL「交渉成立って、戦闘開始なのかよw」

DM「さて。まずはバンシーの、泣き叫び攻撃です。彼女の声を聞いたものは[恐怖]で意志セーヴしてください。」
PL「だよね……。orz」
トビン「ケンダーは[恐怖]に完全耐性持ってるので、意志セーブなんてやんなくていいやw」
DM「では、トビンを除くバンシーから半径60フィート以内の皆さんどうぞ。」
フリン「ぎゃはー、6じゃ!」
ラド「達成値26。」
ヴィヌク「……、2。orz」
DM「目標値18以上で成功ね。ちなみに、エーベンは18。」
フリン「屈辱じゃ。」
DM「では、意志セーヴに失敗したフリンとヴィヌクは直ちに恐慌状態になります。コロコロ、4ラウンドの間ね。」

恐慌状態
 恐慌状態になると、攻撃ロール、セーヴ、技能判定、能力億判定に-2の士気ペナルティを受け、手に持っていたものをすべて落とし、[恐怖]の原因から可能な限り速く(ランダムに)逃げ去ります。

 それを見た例の彼が一言。

エーベン「みろ!あのドワーフ、仲間から敵前逃亡しようとしているぞ!」
PL一同「爆笑」

ゴールドムーン「コホン。では、私はアングリフ様の番までしおらしく遅らせます。」
PL「何だよ!そのしおらしくってのは!リヴァーウィンドの事はどうしんだよ!」
ゴールドムーン「あんな奴、背が高いだけで、全然役に立たないから。」
PL「このゴールドムーン、セッションごとに性格が変わってるな。」

ラド「まぁ、敵は非実体だろうから、マジックミサイル(魔法の矢)を。コロコロ、17点のダメージ。」
PL「もしかしてSR(SpellRegist:呪文抵抗)あったりして……。」
DM「ええ、実はSR20」
ラド「くそっ。コロコロ、よし通した!」
PL「魔法しか効きそうにないな。」

アングリフ「では、ランスを落としてロングソード+1を抜き、剣礼をして――」
PL「さっさと、命中判定しろよw」」

 ここで、アングリフの中の人。自慢げに懐から携帯?を取り出して、振り回し出しました。

ブーン!ブーン!

携帯端末らしき機器から鳴り出す電子音。

PL「おお!なにそれ!」
アングリフ「ふふふ、これiPhone。振り回すとStarWarsのライトサーベルの音を出すアプリ。」
PL「すげー!」
アングリフ「内蔵の加速度センサを利用してブーン、ブーンと音が出るんだ。」
PL「ロングソード+1を振り回す音かー!」
アングリフ「では、命中判定をば。コロコロ……AC21まで命中、当たり。ダメージ、6点。」
PL「しょぼ!iPhoneのSE(サウンドエフェクト)まで用意してこれかよっwww」

 この後、事あるごとにブーンブーンとiPhoneのSEを鳴らし続けるアングリフ。(^ω^;)
 しかし、まだこの時は誰も、彼が何故こんな洒落た小道具を持ってきたかは、知るよしもなかったのです。

トビン「非実体の敵には魔法系の攻撃しか効かないんだよね。でもトビンの〈知識〉ではわからないはずなので、ここままクロスボウを撃ちますよ。コロコロ……ハズレ。orz」

非実体
 非実体のクリーチャーは、他の非実体クリーチャー、魔法の武器、呪文、擬似呪文効果、超常効果によってしか傷つけられません。彼らは魔法を伴わないあらゆる攻撃形態に完全耐性を持ち、[火]や[冷気]、[酸]に傷つけられることはありません。
 また、魔法や魔法の武器の命中を受けたとしても、非実体クリーチャーは50%の確率で、実体のものによるダメージを無視できます(マジック・ミサイルのような力場効果の魔法などを除く)。

 ここで、ゴールドムーンがフリンやヴィヌクの側に駆け寄り、リムーヴ・フィアーの呪文をかけて、彼らの恐れを取り除きます。

フリン「やれやれ、これで逃げ出さなくて助かった。」
ヴィヌク「うむ。ゴールドムーンのおかげで攻撃できるぞ。2回攻撃、コロコロ、ACそれぞれ15,21まで命中で、21の方が命中。だけど非実体だから50%の確率でミスチャンスなんだよな。コロコロ…・・結局ハズレ。」
フリン「ワシは《速射》で3回攻撃。AC20、16、23まで。20と23がヒットしたようじゃが、50%ミスチャンスで結局1回ヒットか。ダメージは6点,」

 ここでバンシーの冷たい手が目の前にいたヴィヌクに触れます。ゾクっとした感覚が彼を襲い、力を吸い取られます。

DM「バンシーは、非実体の接触攻撃をヴィヌクに行います。コロコロ、あ。クリティカル、15点。」
ヴィヌク「うぬぬ。」
ラド「私は、さらにスロットに入れていたマジックミサイルを撃ちます。コロコロ、SR15までなので外れた……。」
アングリフ「私の番だな。バンシーにロングソード+1で全力攻撃。1回目は50%ミスチャンスでハズレ。2回目は出目ですでにハズレだな……。」
ゴールドムーン「癒しの女神、ミシャカルよ!今こそあなたの力をお見せ下さい!(ブーン、ブーン)スリングで攻撃、ハズレ。」
PL「ミシャカル、音だけかよw」

トビン「はぁ、みんな当たらないね。ねぇねぇ、バンシーのオバサン。君の叫び声、みんな嫌がってるんだけど――、とバンシーに《罵り強化/Improved Taunt》を使用。コロコロ、〈はったり〉で達成値27。ええと、バンシーのオバサンは〈真意看破〉で対抗判定ヨロシクw」
バンシー「おばさん、おばさん、うるさいよ!このくそケンダー!と、コロコロ、15で失敗。」
トビン「にゃはは。怒ってる、怒ってるwみんな、これで当ててよw」

《罵り強化/Improved Taunt》
 ケンダーの種族の特徴《罵り/Taunt》の強化特技。ケンダーは誰かを野次ることに用いられるすべての〈はったり〉判定に+4の種族ボーナス《罵り/Taunt》を持っています。《罵り強化/Improved Taunt》の特技を持っていれば、戦闘中にも敵を罵ることができ、そのときの〈はったり〉判定が、目標の〈真意看破〉の対抗判定に成功する(値を上回る)と、目標を逆上させ、攻撃ロールとACに−2のペナルティを与えることができます。

ヴィヌク「よし、私も魔法のメイスで攻撃、コロコロ、AC27まで。50%ミスチャンス分もOK、ダメージ10点!」

 その瞬間、バンシーは消えてしまいました。

ラド「やっと倒したか。」
ヴィヌク「やはり、パラダインの加護のおかげだな!」
トビン「ボクが怒らせたせいだって!」
ゴールドムーン「ちっ。
PL「舌打ちしやがった、このクレリック。」
ヴィヌク「やべ!俺、受けたダメージを彼女に治して貰わないと……汗」

奇妙な戦利品


 トビンがバンシーが潜んでいた宝物庫を物色した結果、以下の戦利品を手に入れました。

・高品質のレザー・アーマー
・ブーツ・オヴ・エルヴンカインド(エルフ族のブーツ/〈忍び足〉判定に+5ボーナス)
・クローク・オヴ・エルヴンカインド(エルフ族のクローク/〈隠れ身〉判定に+5ボーナス)
・グローブズ・オヴ・デクスタリティ+2(敏捷の手袋/【敏捷力】に+2ボーナス)
・アミュレット(???)

 鑑定の結果、最後のアミュレット以外効果はわかりました。

PL「なんだかローグ用の装備だな。」
トビン「手袋はもう持ってるから、ブーツとクロークはボクが装備するね。」
フリン「では、手袋はワシが装備しよう。これで弓が当たりやすくなるわい。」
ラド「うーん、最後のアミュレットは鑑定できなかったが何の効果だろう。」
トビン「装備してみたら?」
ラド「よし、アングリフの首にかけてみますよ。」
アングリフ「こ、こら!なにをする!」

DM「アングリフがつけるとえっと……、エイプですね。たちまち姿が変化して大猿になりましたよw」
PL「猿かよw」
PL「そこでブーンの効果音ですよ!w」
ラド「あれ、おかしいなぁ。てっきりアミュレット・オヴ・ナチュラルアーマー(外皮のお守り:外皮が硬くなる)かと思ったんですけど(笑いをこらえながらw)」
アングリフ「な、何をするのだ!」
DM「ええっと、君の能力値はエイプの【筋力】になるので強くなるよ。」
トビン「おおwすごいや!でも、猿は臭いからイヤだなw」
フリン「【筋力】が上がるのか。」
ラド「じゃぁ、フリンにつけよう。」
DM「ええっと、アングリフからアミュレットを取り去ると元の姿に!」
アングリフ「――戻った。」
フリン「ワシが猿になるのかの?」
DM「いや、フリンがつけると……コロコロ。はい、姿が消えて着ているものが床に落ちました。」
PL「え?」
DM「着物の中から1匹の蛇がにょろにょろと――。」
フリン「なんじゃと!?」

トビンが、蛇をつまんでぶらぶらさせがら一言。

トビン「もしかして、フリン?」
PL「猿じゃないのかwww」
フリン「!?」
トビン「ねぇ、ラド。これマテコンにどう?」
ラド「やめとく。」

 その蛇の首にかかっているアミュレットを剥がすラド。その途端、皆の目の前に素っ裸のドワーフが現れました。

ゴールドムーン・ティカ「キャー!」
PL「爆笑。何を晒すねんw」

フリン「蛇はイヤじゃぁーー!あれ、傷が治ってないか?」
DM「じゃぁトビン、このアイテムについて、特別に《ケンダーの伝承/Kender Tales》の能力で調べていいですよ。」

 トビンがハンドラーの特技《ケンダーの伝承/Kender Tales》判定した結果、このアミュレットはケンダーの伝承によると"Charm of Animal Transformation"というものだということがわかりました。

Charm of Animal Transformation/動物変化のお守り
 装備したクリーチャーが特定の動物に変化するお守り。変化したクリーチャーは、その動物の特性、及び【筋力】、【敏捷力】、【耐久力】を獲得し、減少していたHPも取り戻すことができます。
 ただし変化している間、そのクリーチャーは1時間ごとに難易度14の意志セーヴを行い、失敗すると、【知力】に1d4のダメージを受けます。【知力】が3以下(動物レベル)になると、変化したクリーチャーは永久に動物になってしまい、元に戻ることができなくなります。

トビン「――ということをどこかで聞いたことがあるぞw」
フリン「もう蛇になるのは勘弁じゃ!。」
アングリフ「しかし、HPが回復するぞ。」
ラド「なるほど、これはいいものだ。私がハバサックに入れておこう。」
トビン「でもいつのまにか、ケンダーのポーチに入ってると思う……。」

ヴィヌク「さぁ、そろそろ先に進むぞ。」



 鎖室の奥の扉を開けて進むパーティたち。先の行き止まりで、トビンが出目20で〈捜索〉 して隠し扉を発見しました。

ギルサナス「そろそろスラ=モリを抜けるな。この先がきっとパックス・タルカスだ。」
PL「ギルサナス、いたのかよw」
ヴィヌク「では、行くか。む、どうしたのだ?アングリフ」
アングリフ「ワームス……いや、なんでもない。」

 トビンはフリンに尋ねます。

トビン「ねぇねぇフリン。蛇になったキモチってどんなキモチ?どんなキモチ?」
フリン「う、うるさい!ケンダー!」


侵入!パックス・タルカス


 隠し扉を抜けた先は、スラ=モリのかび臭くて湿っぽかった洞窟の中とはうって変わり、乾燥した広い場所になっていました。
 どうやらこの場所は貯蔵庫のようで、部屋にはソレースやゲートウェイ、ニューポート、ヘイヴンから徴用したであろう食料などの何百ポンドもの物資が所狭しと積み上げられています。
 また、部屋の奥には3つの通路があります。

フリン「ここはパックス・タルカスの地下貯蔵庫のようじゃの。」
トビン「しっー!フリン、ちょっと声が大きいよ。これから〈聞き耳〉するね、コロコロ……28。」
DM「はい、通路のどの方向からも人の話し声が聞こえますが、何を言っているのかまでは聞き取れません。」
アングリフ「さて、どの道に進むべきか。」
ラド「まかせるよ。」
トビン「こういうときは、堂々と真ん中へ行こうよ。」



――結局、真ん中の通路を進んだパーティでしたが、どうやら3つの通路は同じ場所に繋がっていたようで、しばらく進むと通路が合流し、開けた場所にでました。
 その場所の奥の壁の中央には扉が見え、話し声は、その部屋の奥の扉の向こうから聞こえてきます。
 どうやら、シューシューと音を立てて喋る爬虫類めいた複数の声の主たちと、一人の女性が、何か言い争っているようです。

アングリフ「声を聞いて、私が扉を開けて入ってみます。」
ヴィヌク「おい、待て、アング――」

 ―――

ドラコニアン「大人しくしろ!ヴェルミナルド卿が、おまえをご所望なのだ!」

 部屋の中、野蛮な風貌のドラコニアンが若い女性の囚人の腕を引っ張り、彼女を部屋の隅に投げつけました。

ドラコニアン「おまえは、卿の高貴な誘いを拒否するのか!」

 彼女に向かって近づくドラコニアン。その後ろでは別のドラコニアンが数匹、歪んだ笑みを浮かべていました。

 振り向きざまにその長く美しい金髪を肩にかき上げる彼女。
 顕わになった彼女の顔を、ちょうど扉を開けたアングリフが見つめます。

アングリフ「ろ、ローラナ殿!」
ローラナ「その声はアングリフ様!」



 間違いありません。その女性は、クォリネスティの森にいるはずのエルフの王女、ローラナです。

ドラコニアン「何だ!?貴様らは!」
ドラコニアン「む?くせ者だ!」

 パーティたちに気づいたドラコニアンたちが襲いかかってきます。

アングリフ「姫!どうして、ここに!?」
ローラナ「アングリフ様が心配で、追いかけて来たのです!」

DM「戦闘開始ですね。」

 そう言って、カパック・ドラコニアンのミニチュアをタイルの上に並べ出すDM。

フリン「よし、連爆を狙うんじゃ!奴らはぷよぷよのように――」
DM「いや、ちゃんと距離を取って並べるからw」
PL「ぷよぷよってw」
フリン「何でもないわい。さてワシからじゃ。弓で攻撃じゃ。コロコロ、お!クリティカル・ヒット!ダメージは20点。どうじゃ!」

 フリンの放った矢が前方のカパック・ドラコニアンを貫き、一撃でその生き物の息の根を止めてしまいました。その途端、その生き物の体が爆発して辺りの半径5フィートに強酸の体液が飛び散ります。

フリン「くそ、誘爆しないように上手く位置を取って並べてやがる。」
トビン「じゃ、ボクもライト・クロスボウで援護射撃。コロコロ、AC26まで、命中!ダメージは8点。」
ドラコニアン「おのれ侵入者め!」

 アングリフは襲いかかってきたドラコニアンのショートソードを華麗にかわしますが、2体目のドラコニアンのかけたクリティカルヒットした突撃を受け、5点のダメージ。ショートソードに塗ってあった[毒]による追加ダメージは、頑健セーヴ達成値18でかわします。

ドラコニアン「よーし、俺はそこの邪魔なケンダーを片付けてやる!」

 もう1体は、今度はトビンに攻撃をして命中、ダメージは1点。トビンも頑健セーヴ達成値24で[毒]による追加ダメージは受けませんでした。

ラド「私は、そうだな。グリッター・ダストで敵の視力を奪おう。」
DM「OK、コロコロ、残念。ドラコニアンは意志セーヴ成功したので、盲目にはなりませんでした。」
ラド「しょぼかったか……。」

 次にヴィヌクがメイスで迫り来るドラコニアンを攻撃し、8点のダメージを与え、続くアングリフも小さく剣礼(フリーアクション?)をしてから攻撃を行い(相変わらずブーン、ブーンと電子音をうならせながら)、5点のダメージを与えます。

フリン「ワシは、下がって距離を取って弓を引くぞ。」
DM「では、下がるフリンにドラコニアンが機会攻撃を仕掛けますよ。コロコロ、命中。3点ダメージと[毒]ですけど。」
フリン「コロコロ、頑健セーヴ成功。ドワーフは頑健セーヴの修正値が高いから効かんわい。では、ワシの《速射》じゃ。3回攻撃でそれぞれAC16まで、AC15まで、AC15まで命中。全弾命中したようじゃから、ダメージは合計で、26点じゃ。」

 フリンの前にいたドラコニアンが彼の弓の連続攻撃を受けて倒れます。またもやドラコニアンの体が爆発して、まわりに強酸の体液が飛び散りますが、まわりには誰もいなかったため、誰も被害は受けませんでした。

DM「うまく逃げやがって。」
トビン「じゃぁボクは《罵り強化/Improved Taunt》で、『へい、この水風船野郎!』と、そばのドラコニアンを挑発。コロコロ、〈はったり〉は32。」
DM「コロコロ、ドラコニアンの〈真意看破〉での対抗判定の値は10。こんなの勝てないぞ。orz」
トビン「命中判定とACに−2のペナルティね。しかも10以上の差で失敗したから、持続時間2倍だw」
PL「地味に痛いな、これ。」

 ケンダーに逆上したドラコニアン、頭に血が上って攻撃の手が緩みました。



ローラナ「皆さん、私も戦います!」

 油断したドラコニアンに、背後からエルフの乙女が彼らの落とした剣を拾って斬りかかります。

PL「ローラナ、かっこええ……。」
PL「NPCの癖に、戦っていいの?」
DM「彼女、隙があったら剣を拾って戦うってシナリオに書いてるから。」
PL「さすが、後の〈黄金の将軍〉!」

アングリフ「姫!こっちは危険です!下がってください!」
ローラナ「いいえ、アングリフ様!私も戦わせて下さい!」

 刹那、見つめ合う二人。

アングリフ「姫!」
ローラナ「アングリフ様!」

フリン「ふん、さっきまでゴールドムーンに色目を使ってたんじゃないのか。お前の番だぞ、アングリフ。」

 ブーン、ブーン。アングリフの出目は1。攻撃失敗。

PL「出目1じゃあたらんなw」
トビン「メロドラマはいいからさ、戦いに集中しなよw」

 残り1匹となったドラコニアンに、フリンが弓で攻撃して5点のダメージを与え、続いてゴールドムーンが後ろからスリングを使ってブリッドを命中させました。

PL「障害物多くて、遮蔽ありだったのに、よく当てたな。」
DM「そのドラコニアン、ゴールドムーンの攻撃で死にましたね。」
PL「じゃぁ、爆発?」
アングリフ「なにぃ!」
DM「はい。強酸の体液が半径5フィート以内に……、アングリフにかかりましたね。」
アングリフ「仕方がない、ダメージをくれ。」
DM「まるでゴールドムーンの嫉妬が、彼の身を焦がすようですw」
PL「笑」

ローラナ「アングリフ様!お怪我は!?」



 彼女はアングリフに駆け寄り、服の裾を破って傷口に当てます。それを見たゴールドムーン、

ゴールドムーン「ちょっと!どきなさいよ!キュア・ライト・ウーンズ!」
PL「もう、ドロドロの三角関係だなw」

 さらに、ギルサナスまで。

ギルサナス「ほら見ろ!奴の正体は獣だ!さっき正体を見たが本当に猿以下の獣だった!」
一同「たしかにw(爆笑)」


地下房の囚人たち


 アングリフたちがクォリネスティを立った後、ローラナは心配になって後から追いかけて来たのですが、ドラコニアンたちに捕まってここまで連行されて来たそうです。そして、ヴェルミナルドというドラゴン卿の元に連れて行かれるところでした。

アングリフ「なんと無茶な。姫はお怪我はないですか?」
ローラナ「多少の擦り傷はありますが、大したことはありません、アングリフ様。」
フリン「とりあえず、例のお守り(Charm)を付けて見るか?」
DM「HPは回復しますが、裸になりますねw」
PL「それが狙いか!フリン!」
PL「このむっつりスケベドワーフ!

 ―――

ローラナ「ところで、この先には捕虜を閉じ込めている部屋があるの。私がここに連れてこられたとき、捕らえられた女性たちの声を聞いたわ。」

 ローラナの言うとおり、パーティたちはこの部屋の扉を開け先に進むと、囚人たちの地下房を見つけることができました。
 巡回の時間ではないのか、幸いまわりには敵の気配は無いようです。
 ソレース、ゲートウェイ、ヘイブンから連れてこられた30人以上の女性たちが、ワラの寝床以外に何もない牢獄の中に捕らえられています。

アングリフ「淑女の皆様、私はアングリフ・ブライトブレイド、この者たちは私の仲間です。今からそちらに参りますので、よろしいでしょうか?」
トビン「何、牢獄に入るのにかしこまっているのさw」
アングリフ「牢獄とはいえ、レディの部屋に入るには声をかけなければ失礼だろう。」
一同「……。」

囚人の女性「アングリフさんといいましたっけ?あなたは一体ここに何をしに来たの?」

 マリッタと名乗るここのリーダーらしき女性が彼に聞きます。

アングリフ「あなた方を助け出しにきたのです!」
マリッタ「私たち助かるの?だけど、夫たちは別の場所に捕らわれているし、子供たちも赤竜フレイムストライクの巣の先で捕らわれているのよ。」
ラド「逃げ出さないように、家族をそれぞれ別の場所に捕らえるとは賢いな。」
トビン「赤竜!?」
フリン「子供を餌にするんじゃろう。」
アングリフ「そのような邪悪な竜は退治しなければ!」

男の声「何か、あったのですか……?」

 弱々しい男の声が牢獄の奥から聞こえました。その声の方に目を向けると、ワラで作った粗末な寝台の上に痩せ細った男が横たわっており、やつれ果てた顔をこちらに向けていました。

マリッタ「彼はエリスタン、ヘイヴンから来たシーク教徒司教の一人でした。皆からの厚い尊敬を受け、あのヴェルミナルド卿のことも批判していたのです。しかし、彼は不幸な事故で傷を負い、今はどんどん衰弱して、ここに一緒に閉じ込められているのです――。」

 そこに近寄っていくゴールドムーン。

ゴールドムーン「私に診せて下さい。〈治療〉判定を。」
DM「かなり悪いですね。」
ゴールドムーン「癒しの女神ミシャカルよ、彼の者に癒しの力を!」
エリスタン「お嬢さん、私に無駄な努力をするのを止めて下さい。私はもう長くない。」
ゴールドムーン「いいえ、希望をお持ちください。あなたには時間が与えられます。キュア・モデレート・ウーンズ!」

 エリスタンに手を当てて、まことの神から授けられた正のエネルギーを注ぎ込むゴールドムーン。
 しばらくの沈黙の後、何もなかったようにゆっくりと起き上がるエリスタン。

エリスタン「体が、体が軽いぞ!おお、奇跡だ!それに、あなたの首にかかっているのはまことの神々のしるしでは!」

 ゴールドムーンの首に輝いている銀のメダリオンを見つめるエリスタン。

ゴールドムーン「そうです。今、神々は人々が信仰を取り戻すことを待っているのです!」
エリスタン「私はなんと愚かだったんだ!私はまことの神を信じるぞ!まことの神々は帰還されたのだ!」

 その瞬間、エリスタンの首にメダリオンが現れて輝きだし、彼の頭の中にパラダインと他の光の神々に関する知識がなだれ込んで来たのです。

エリスタン「おお!これは古の神、パラダインのしるし!私は、パラダインの僧侶となったのか!」

信仰のメダリオン/Medallion of Faith
 まことの神々の僧侶として神に認められたクレリックがその神より授けられた信仰のあかし。
 信仰のメダリオンは、新たに神に認められた聖職者のために、新しくメダリオンを作り出すことができます。新たに受け入れられた神の神格は、相反する神を除いてオリジナルのメダリオンの神格と異なることもあります。
 廃都ザク・ツァロスで女神ミシャカルより、その僧侶として受け入れられたゴールドムーンは、彼女のメダリオンから、新たなメダリオンを作りだし、同じ光の神のパラダインに認められたエリスタンに与えたのです。

 パラダインの僧侶の誕生です!

ヴィヌク「おお、こいつは頼もしい!」
フリン「おぬし、武器は何か使えるかの?」

 彼は、輝くメダリオンを掲げて言います。

エリスタン「わたしの武器は、この信仰なのですよ!
フリン「お、おみそれしました!」

 ―――

 さて、マリッタにパックス・タルカスの内部の状況を聞きながら、パーティ達は夫たちと子供達を解放する算段を始めました。

 まず、ここで得られた情報は以下のとおり。

・他にも捕虜の女性たちが西の塔の最下層に捕まっていること
・夫たちは昼は鉱山で働かせられ、夜は砦の南の洞窟の中に閉じ込められていること
・女性たちの何人かが、毎晩鉱山の夫達のところへ食事を届けに行くこと
・子供達は、上の階のドラゴン卿の裏の遊戯室に捕らえられており、同じく女性たち何人かが毎晩子供の世話をしに行っていること
・赤竜フレイムストライク(マータフルール)が子供を警護しているが、年老いたドラゴンはかなりボケていて子供たちを自分の子と思っていること
・もう1体、エンバーと呼ばれる赤竜がいること

 考えられた作戦は……

・食事を届ける女達に紛れて(女装?)、夫達がいる鉱山へ行き、彼らに脱出の計画を伝える
・その後また女達に紛れて、子供達を日課の外に散歩に連れ出すふりをして子供を連れてスラ=モリを経由して脱出する
・スラ=モリにはまだ敵がいるため、彼らの安全を確保するために、事前に掃除が必要

PL「やっぱり女装きましたかw」
フリン「てへへ。ワシは一度、女装してみたかったんじゃ!」
PL「乗り気なのかよw」
トビン「髭剃るの?フリン?」
フリン「剃った方がいいかの。」
トビン「ぷぷぷ、じゃぁ今度から、髭なしドワーフのフリンって呼んじゃうけどいい?」
フリン「ぬぬぬ、それは不味い!」
アングリフ「私は絶対髭はそらんぞ!」
ラド「い、いや。フードを深く被ってればいいと思うんだけど……。」


スラ=モリ一掃


 さて、建前上は捕らわれた者達の逃げ道のルート確保のため、本当は取り逃した某剣のゲットのため、今一度、スラ=モリに戻ることになりました。

 アンデットの回廊のところはゴールドムーンが気合いを入れてターン・アンデットして敵を排除し、スラ=モリの入り口の最初の分岐のところまでもどり、別の道に進みます。


 パーティが進んだその先は巨大なホールになっており、パーティ達の立てる音の反響が不気味にこの空間にこだましています。天井を支える円柱は、崩壊して朽ちてしまっており、床は瓦礫で一杯です。
 部屋の左手には、花崗岩で出来た玉座があり、部屋の右手の奥には青銅の両開きドアが見えます。
 玉座には豪華な服を着て、腰に剣を下げた骸骨が座っており、その両脇に1体ずつ、人の男性の3倍はあろうかと思われる衛兵のような像が立っていました。

ギルサナス「あれはキス=カナン様ではないか!しかも腰に下げているのは、かの有名なワームスレイヤー!

 キス=カナン、シルヴァネスティ・エルフの王子であり、クォリネスティの創設者であり、〈太陽の評議長〉であったエルフ族の英雄。かつて、人間とドワーフやエルフとの友好の証に、パックス・タルカスを建造しました。

ラド「ではディテクト・マジックで、魔法感知をしてみよう。」
DM「辺りに魔法を感じますね。感知に集中すると、やはり白骨化したキス=カナンの携帯する剣からのようで、さらに集中すると、その剣から微弱な召喚術の類の魔法を感じます。」

ローラナ「これは神様が我々に使わされたものだわ」
フリン「罠とかじゃないじゃろうな?」

 いつのまにかキス=カナンの玉座の前にいるトビン。

トビン「じゃぁ、ちょっと借りても、このエルフの英雄は怒らないよね?」

 そう言って、精巧な剣を取って掲げてみるケンダー。

トビン「カッコイイな!じゃぁこれ、ボクが皆を代表して"借りて"おくよ!!」

 名剣ワームスレイヤーは、なんとケンダーが自分の剣にしてしまいました。

アングリフ「……。」
トビン「どしたの?」
アングリフ「なんでもない。」(ぶーん、ぶーんと寂しくiPhoneを振る中の人)

DM「ええっと、じゃぁ〈知識〉 判定でもしようか、トビンなら《ケンダーの伝承/Kendar's Tales》でw」
トビン「じゃぁ、コロコロ……18かな。」
DM「はい、ではせっかくなのでちょっと解説をばw」

ワームスレイヤー
 ワームスレイヤーは、クォリネスティが出来る前の〈夢の時代〉、シルヴァネスティの王子キス=カナンの剣で、彼がクォリネスティの〈太陽の評議長〉として亡くなったとき、それは彼と共に葬られました。
 この剣は+3ボーナスの魔法のロングソードで、ドラゴンベイン(ドラゴンに対して2d6+2の追加ダメージ)の能力を持ち、さらにドラゴンのブレスや呪文の、すべてのドラゴンの疑似呪文能力からの攻撃に対するセーヴに+3の抵抗ボーナスを剣を持つ者に与えます。
 また、この剣をドラゴンの30フィート以内に近づけると、ブーンと剣が振動して唸りだします。これは300フィート以内のどんなドラゴンも目を覚ますほどやかましい音です。

トビン「――ということをケンダーの伝承で聞いたことがあるぞw」
アングリフ「(ぶーん、ぶーんと寂しくiPhoneを振る中の人)」

トビン「あ”。もしかしてiPhoneのアプリってこの剣のためだった?」
アングリフ「……、別に。」
トビン「……。」

 気まずい雰囲気がパーティの間に漂います。

アングリフ「いや、ケンダー!早くそれを玉座の遺体の元に返すのだ!」
トビン「うはw怒ってる。」
アングリフ「怒ってなぞない!」
トビン「ちょっと借りてるだけじゃないかw」
PL「一般的には借りパクだけどw」

 
 その後、右奥の扉の先も調べておくことになりました。 
、トビンが扉を調べて〈聞き耳〉をすると、扉の中からは、ズル、ズル、という音が聞こえてきます。

トビン「何かいるみたい。」
ヴィヌク「よし、戦闘準備して、開けてみるぞ。」

 シールド・オヴ・フェイス(対象の周囲に魔法のフィールドを作り出す)、サンクチュアリ(対象を攻撃しようとする者に意志セーヴをさせる)などをゴールドムーンが皆に唱え、戦闘の準備をします。

 パーティは準備が整うと、扉を開け、ゆっくりと中に侵入します。
 部屋の空気は、他の部屋と同じくカビ臭くて澱んでいます。床には、いたるところに何かの残骸が散らばっていて、濡れており、滑りやすくなっています。

トビン「何か見える?〈視認〉判定は、コロコロ……、25。」
DM「何もみえませんね。」
トビン「おかしいな、さっきの音はなんだったんだろ。」
フリン「ワシには何か感じるぞ。(プレイヤー的にw)」
ヴィヌク「では私が先行しよう。」

 ヴィヌクが先に進んだところ、彼の目の前に何かの巨体が出現し、彼を攻撃してきました。

DM「では謎の巨体の不意打ちラウンドですね。何か口のようなところからヴィヌクに唾を飛ばしてきましたよ。ヴィヌクに遠隔接触攻撃ですね、コロコロ、あれ、ハズレました。」



 不意打ちラウンドが終わったところで、ここから戦闘ラウンドです。

DM「最初は敵の攻撃ですね。近づくヴィヌクに噛みつき攻撃で、コロコロ……命中。とりあえず頑健セーヴをどうぞ。」
ヴィヌク「トホホ、これが前衛の宿命か……。コロコロ、頑健セーヴ、失敗した。」
DM「ええっと、では7ラウンド麻痺で。」
PL「ちょっとまて。7ラウンドって、こいつに喰われて戦闘終わってるじゃんw」
ヴィヌク「オワタ……。orz」

ラド「兎に角、〈知識〉チェックをしてみます。〈知識:自然〉らしい、コロコロ。」
DM「巨大ナメクジ、モンストラス・スラッグですね。どうやら周りに同化して獲物が来るまで隠れていたようです。」

ゴールドムーン「私は、そのナメクジにシアリング・ライトをぶつけます。コロコロ、命中。ダメージ15点。」

 ゴールドムーンの開いた右手から、きらめく光が打ち出され、巨大なナメクジに当たります。次に、フリンが弓で攻撃しましたが、命中するもナメクジの硬い外皮に弾かれてしまいました。

フリン「ワシの弓が効かんとは……。」
トビン「待ってて。このボクが魔法の剣で助けにいくから!」

 敵に近づいていくトビン。

アングリフ「よし、今こそ騎士の力を見せつけるとき!突撃!《強打》を4点入れて、コロコロ、AC20まで命中!62点のダメージ!さらに馬の蹄による攻撃をするが、こちらはミスした――。」
トビン「すげー。敵の外皮、関係ないねw」



ラド「私は、グリッター・ダストで目つぶしをしてみよう。」
DM「ナメクジは意志セーヴ失敗しましたが、あまり困ってないようです。」
ラド「しまった!目は飾りか。おそらく震動感知能力か鋭敏嗅覚持ちだな。」

DM「ナメクジは、突撃してきたアングリフに噛みつき攻撃しますよ。コロコロ、AC32までだから、当たりましたね。では頑健セーヴをば。」
アングリフ「よ、よし!我が言葉は我が名誉、我が名誉は我が命!《名誉の束縛/Honor-Bound》を使用して、セーヴに+2ボーナス。コロコロ、頑健セーヴ、達成値21!」
DM「残念でした。えっと、ありゃ12ラウンド麻痺ですね。」
アングリフ「ギャーー!」
PL「ナメクジ、恐るべし!」
PL「ナメクジ、なめてますた。」


PL「どうするよ?前衛二人が事実上戦闘不能。」
PL「とりあえずダメージ出さないと!」

 ここでゴールドムーンが、ホーリースマイトを唱え、聖なる力を呼び下ろし、意志セーヴに失敗したナメクジにダメージを与えますが、中立属性のためにダメージが半減して11点。
 続くフリンは、弓で全力攻撃をしかけますが、4回攻撃のうち2回命中し、敵の外皮を通してダメージを与えたのは1回の2点だけでした。

フリン「だめじゃ、硬すぎて普通の武器では効かぬぞ!」
ラド「では、今度はエヴァーズ・ブラック・テンタクルスの呪文で、触手を出現させて敵の動きを止めるぞ。ナメクジは、目標値23で組み付き対抗判定をしてくれ。」
DM「ナメクジ、超大型サイズなんだが。コロコロ、やっぱり成功。」
ラド「小細工は効きそうにないな。スマン、ダメージ呪文にすればよかった。」

 フリンの当たらない弓の攻撃で敵を引きつけている間、ゴールドムーンが、麻痺して動けなくなったヴィヌクを引きづり、後方に撤退します。

トビン「敵の攻撃、AC32まで命中って何だよw接近戦挑んだら絶対攻撃受けるじゃん!」
DM「そうですね。」
トビン「よし!カッコイイけど、こんな使いにくい剣なんていらないや。フリーアクションでワームスレイヤーを捨てて、使い慣れたフーパックで攻撃するよ。」

 トビンの持つワームスレイヤーは強力な武器ですが、彼はロングソードに習熟していませんし、中型サイズ用の武器を小型サイズのケンダーが使うことで、合わせて攻撃ロールに-6のペナルティを受けます。

ヴィヌク「このケンダー!ワームスレイヤーを投げ捨てやがったw」
ギルサナス「絶対、あの世でキス=カナンが泣いてる……。」
トビン「いや接近戦だと勝ち目がなさそうだし。遠隔攻撃で急所攻撃がのれば外皮は通せるはず!コロコロ、命中!」
DM「今、一応盲目なので急所攻撃できますよ。」
トビン「じゃぁ急所攻撃のダメージを入れて8点。少しだけど外皮は通ったし、こっちの方がいいなw」



PL「センセ−!いい加減ぶちかましてダメージ出してください!」
ラド「しょうがない、敵にファイアーボール、難易度18で反応セーヴを。」
DM「コロコロ、失敗。」
ラド「では33点のダメージです。」
DM「では敵は黒コゲになって死にました。」
PL「やっと倒せたか――。」
ラド「搦め手を下手に考えて、呪文を浪費してしまったな。」
痺れた前衛たち「役に立たなくてすまぬ。」

――というわけで、捕虜の脱出経路となるスラ=モリをほぼ攻略したところで、今回は終了です。
 次回は、パックス・タルカスの攻略です。
 果たしてパーティ達は、レッドドラゴンと、ドラゴン卿のヴェルミナルドを倒すことができるのでしょうか!?お楽しみに!!


あとがき:
 参加者の皆さん、今回も大変遅くなりましたが、おつかれ様でした!
 このところ仕事の方が狂ったように忙しく、なかなかレポートを書き上げることが出来なくて、待っていてくれた方々には大変お待たせ致しました!
 今回の一番面白かったところは、ワームスレーヤーの効果音まで用意してきたアングリフが、肝心の名剣をKYなケンダーに横取りされてしまったところでしょうか。英雄キス=カナンも、自分の剣がケンダーに使われるなんて、微塵も思ってなかったと思いますw
 また、今回もアングリフの泥々とした女性関係を見せつけられました。パーティの女性陣から、彼が包丁で刺されるのも時間の問題のようですねw

 さて、ここを見て頂いている方ならすでにご存知だと思いますが、この冒険のDMをされている霧島さんが主催するドラゴンランス・コンベンションが、今週末に開催されます。
 このドラゴンランスのキャンペーンに参加している私としては、D&Dやドラゴンランスの同じファンの皆さんに、是非このプレイレポートのような楽しい体験をして欲しいと願っています。
 参加される皆さんは、存分に楽しんで下さい!!

 それでは、次回も読んで下さいね!

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